ひとりだけ

マミは怒りに任せて、彩綾の胸ぐらを掴む。

彩綾はそうされても、マミをするどい目つきで睨む。



「噂で聞いたことがあったの! 『ひとりだけ』を読むと、“悪魔”の声が聞こえるって!! ……本当だった!! 私はみんなを巻き込んで、この部屋に来ることになった!!」



そして、眉間にシワを寄せて言った。



「私を!! 怒らせたのはアンタ達!! 恨んでも恨んでも、足りないくらいの怒りを抱かせたのは、アンタ達だからね!!」



彩綾はそう叫んで笑っている。



「……そうだね」
と、私は微笑む。



「だから呼んだんだ。この部屋から、あなた達みんなを。“召喚する人”が“召喚”したいと思った人達だから」

「…………っ!?」

「みんな、顔を上げた。私の声に気づいたんだ」

「そんな……っ」
と、マミが耳をふさぐ。



「さ、最後にわからないことがあるの!」



祐子が声を震わせて、私に話しかける。



「『ひとりだけ』の意味を教えてっ!!」
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