一生分の愛情をもらいました。
隼人SIDE

その日、隼人は病院の廊下を足早に歩いていた。
朝から重なる診察や緊急対応で疲れが溜まっていたが、それでもふとした瞬間に華の顔が頭をよぎる。あの奇跡の瞬間から数日が経ち、彼女は徐々に体調を取り戻していた。それが隼人にとって何よりの救いだった。

しかし、華が記憶を失ったままであることが隼人の胸を締め付けていた。
彼女が自分を思い出す日は来るのだろうか?
それとも、もう二度と戻らないのだろうか?そんな不安を隠しきれずに歩いていたその時――

「隼人さん!」

その声は雷のように隼人の全身を貫いた。一瞬、自分の耳を疑う。けれど、間違いない。その声だ。華が、自分の名前を呼んだ。

隼人は振り返り、廊下の先を見つめる。そこに立っていたのは、涙ぐんだ瞳で彼を見つめる華だった。

感情が溢れ出す
「華…?」


喉の奥から掠れた声が漏れた。その瞬間、隼人はもう何も考えられなくなっていた。足が勝手に動き出し、気がつけば彼女のもとに駆け寄っていた。

そして、無意識のうちに華を抱きしめていた。
「華…!君が戻ってきたんだな…!」

華の体は震えていた。それでも彼女の温もりを感じた瞬間、隼人の胸の奥に溜まっていた不安と孤独が一気に解けていった。

「隼人さん、思い出したの…全部。」
華の小さな声が聞こえる。

隼人は彼女を少しだけ離し、その顔を見つめた。涙が頬を伝う華の顔を見た瞬間、自分の目からも涙が溢れていることに気づいた。
「本当に…本当に、思い出したんだな。」

華は涙を拭うようにして小さく頷いた。そして、ぎゅっと隼人の白衣を掴んだ。
「ずっと…隼人さんに会いたかった。」

その言葉に、隼人はもう抑えきれず、再び華を抱き寄せた。
「俺もだ、華。ずっと君が戻ってくるのを待ってたんだ。君が生きていてくれるだけでいいと思ってた。でも…こうして君が戻ってきてくれた。それだけで十分だ。」


周囲の視線も忘れ、隼人はただ華の存在を感じていた。この瞬間、自分がどれほど彼女を愛しているのかを改めて実感する。

その夜、隼人は華の病室で彼女の手を握りながら語り合った。

「もう二度と君を失わない。どんなことがあっても、俺が君を守る。」






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