一生分の愛情をもらいました。
華は家に帰り、シャワーを浴びて一息ついた華は、やけどした手に包帯を巻き直しながら今日一日の出来事を振り返っていた。
横断歩道でのあの瞬間、そして再会した隼人との会話。偶然が重なりすぎていて、どこか現実感がなかった。

「本当に、いろいろあったな…」
深いため息をつき、ベッドに腰を下ろしたそのとき、スマートフォンが軽く振動した。画面には見覚えのない番号からのメッセージ通知が表示されている。


「こんばんは。突然の連絡、ごめんなさい。今日の診察の後、少し疲れた顔をされていたので、ちゃんと休めているか気になってメッセージしました。」

華は画面を見つめながら、自然と微笑んだ。診察が終わった後も気にかけてくれるなんて、彼の優しさが胸に染みる。
少し迷ったが、彼女はすぐに返信することにした。


「こんばんは。ご心配ありがとうございます。今、家でゆっくりしているところです。南野さんも忙しそうでしたが、大丈夫ですか?」

メッセージを送信して数分後、またスマホが振動した。


「僕は大丈夫です。ありがとう。ただ、今日のことをもう少し聞きたいなと思って。もしよければ、近いうちに食事でもどうですか?」

突然の誘いに、華の心臓は少し早く鼓動を刻んだ。彼の誘いは唐突だったが、それ以上に自然で、どこか嬉しい気持ちがこみ上げてくる。


「お誘いありがとうございます。ぜひ、行きたいです。いつがご都合いいですか?」
その返信に、すぐさま返事が届いた。


「ありがとうございます。僕は今週末の夜なら空いています。華さんの都合に合わせますよ。」

「華さん」という呼び方が心地よく、彼の真剣さが伝わってくるようだった。


「じゃあ、土曜日の夜はいかがですか?どこかおすすめのお店、ありますか?」


「土曜日の夜、了解です。お店はこちらで予約しておきますね。ちょっと静かで落ち着けるところを探しておきます。」

華は彼の言葉に再び笑みを浮かべ、返信を送った。


「ありがとうございます。楽しみにしています。」

メッセージのやり取りを終え、華はベッドに横たわった。事故の痛みがまだ残っているはずなのに、不思議と心が軽くなった気がした。

「土曜日か…。どんなところに連れて行ってくれるのかな。」

期待と少しの緊張を抱えながら、華は目を閉じた。
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