この想いが、キミに届きますように。

普通に考えるなら、クラスに関する頼み事な気がするけど……。


……藍の場合は、正直何とも言い難いところがある。

数学はいつも平均点より上の成績をキープしているみたいだけれど、他の教科はどれもギリギリで、たしか夏休み前に受けた期末では二教科補習に引っかかりかけたと話していた気がする。



……大丈夫、なのかな……。



「……まぁ、とりあえず忘れず行くね。わざわざ伝言ありがとう」

「どういたしまして」


そう言い残して、彼女は去っていった。


途端に項垂れる藍。

アワアワとしながら、とりあえずちょっとでも心が落ち着くように、と彼女の好物の卵焼きをお弁当に移していく私。


「ありがとう」と微笑む藍の声に、覇気はない。


それから指定時間になって出て行く藍を、私は静かに見送ることしかできなかった。


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