この想いが、キミに届きますように。

「はよ」

「お、おはよ……」


かけられた声に内心少し焦りながら、咄嗟にもう片方のイヤホンも外して、ケースに戻す。


「“なんでいんの?”って顔してんな」

「え、あ、えと……」

「ここ俺の従兄弟も住んでて、昨日、……まぁ色々あって泊まることになっただけだ」


蓮くんは淡々とそれだけ言うと、私が呼んだエレベーターに先に乗り込み、追いかけるようにして一緒に一階へ降りたのだった。



「それにしても早いね。『俺、朝弱いから』って言って、いつもギリギリまで寝てる蓮くんが、私と同じ時間だなんて」

「従兄弟の家であんま長居すんのもな」

「たしかに……。それもそうだね」


ふふ、とちいさく笑って、蓮くんの隣を歩く私。


同じ中学出身者はあまりいないし、この時間は人も少ないから、彼の隣にいても肩身の狭い思いをしなくて済む。


なんだか落ち着くな、と穏やかな風とともに感じながら、学校までの道のりを肩を並べて歩いたのだった。


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