この想いが、キミに届きますように。

「……それにしてもこれ、登校してくる生徒と目が合ったら気まずいね」


藍が真下に見える校門をジト目で見て、ぽつりと呟く。


「あ、うん。だから私も、誰もいないこの時間にしかしないかな……」

「ま、それが無難かもね。それよりクラスはどう?慣れそう?」

「うん、多分……。女子が多いのもあって、今のところ居心地良くて安心する」

「そっか。……うん、ならよかった」


私が頷くと、彼女はどこか安心した様子で優しく微笑んだ。


内気な性格を気にかけてくれているようにも見えるが、根底はきっとそこじゃないとなんとなく感じ取る。


恐らく彼女が心配しているのは、このクラスにも数名在籍している男子の存在。


中学生になってしばらくして、私が男子と話すことを極端に怖がるようになってしまったのが気がかりなんだろう。

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