この想いが、キミに届きますように。

「……そういや、俺に会う前何聴いてた?」

「えっ?」


たわいもない話をしながら昇降口に着いたところで、彼はふいに私に問いかける。


「イヤホンしてたから、気になって。……聴いてるとこ邪魔した感じになっちまったし」

「邪魔だなんて、全然……!聴いてたのは、この前発売されたCDの曲で……」


そこまで言うと、彼は納得した様子で声を上げる。


「あぁ、あのグループの……。本当に凜はあのグループの曲好きだよな」

「うんっ、すき……」


蓮くんに言われて、私は控えめにだけどしっかりと頷いて、頬を緩ませた。


歌唱力に定評のあるそのグループは、作詞・作曲・編曲をも自分たちで担っている、所謂男女混合ユニットで、中学生の頃から私を虜にしているグループだ。


「あ、よかったら蓮くんも──」


一緒に聴く?と声をかけようとしたそのとき、近くを通りかかったらしい誰かと身体がぶつかった。

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