この想いが、キミに届きますように。
「あっ……!」
「凜!?」
突然のことで無防備だった身体は、踏ん張ることも出来ずに前方へと倒れ込む。
次に来るであろう衝撃に備えて、ギュッと目に力を込める。
……が、いくら待っても恐れていた痛みはやってこない。
おそるおそる目を開けてみると、濃紺が視界のすべてを覆っていた。
「っ!……と、大丈夫か?」
頭上からかかる声と微かな息遣い。
片手で抱きしめるかのようなその体勢に気がついた途端、危険信号の如く心臓が早鐘を打った。
一気に頭が真っ白になっていく。
「す、すみませんっ!!大丈夫ですか!?」
私とぶつかってしまったらしい男子生徒が焦った様子で、申し訳なさそうに声をかけてくる。
だけど、私の身体はガタガタと震えるばかりで、振り向くことも声を出すことも出来ずにいた。