この想いが、キミに届きますように。
「あ、の……、本当に大丈──」
「……っ!すみません、ちょっとビックリしてしまったみたいで。こちらこそ、周りをしっかり確認してなくてすみません。怪我してないですか?」
「あ、俺は特に……。けど、その子は──」
「ならよかったです。それじゃ失礼します」
「あ、ちょっと!」
腕の中で震える私に気付いた瞬間、即座に自分と距離をとった蓮くんは、私を背中に隠すと畳み掛けるように一方的に話を進めて、“行くぞ”と私にだけわかるように指で合図を出した。
ギュッと胸のあたりのベストを掴みながら、その後ろをゆっくりとついていく。
階段を上って空き教室に着いた頃には、早まっていた心音も呼吸も落ち着いていて、私はふぅ、と長めの息を吐き捨てた。