この想いが、キミに届きますように。
「……落ち着いたか?」
窓を開けて風通しを良くした彼が、心配そうに眉を下げる。
「う、うん。……ごめん、急に」
「いいよ、別に。あの場で助けようとしたら、そうなることぐらい予想はついてたから。……怖がらせて悪かったな」
「う、ううん。むしろ助けてくれてありがとう……。あのままだったら怪我してたと思うし……」
「そっか。……なら、まぁ、いいか」
彼は静かに頷くと、適当に近くの椅子に腰かけて、スマホを操作し始めた。
そして、ポケットに入れていたらしいイヤホンケースからイヤホンを取り出すと、私のことを指で招き、「ん」とイヤホンの片割れを差し出してきた。
「え?」
「言ってた曲どれ?俺も聴いてみたい」
「あ、うんっ。えっとね……」
曲名を復唱しながら、音楽アプリで検索をかけた彼は、そのまま迷いのない動きで再生ボタンを押すと、流れてくるメロディーに「おっ」と反応を示した。