この想いが、キミに届きますように。
それから一通り聴いてもらった頃には、もう校内もいつもの騒がしさを取り戻していて、ほとんど無意識でどちらからともなくイヤホンを外すと、顔を見合わせて軽く頷き合った。
「戻ろうぜ」
「うん」
蓮くんの言葉に今度はしっかりと頷きながら、イヤホンを彼の手の内にあるケースに戻し、空き教室をあとにしたのだった。
◇
「……蓮くん?どうしたの?」
四階に到着したそのタイミングで、蓮くんがなぜかその場に立ち止まる。
驚いて隣を見ると、彼は教室がある方をじっと見て、「凜、先に入れ」と言い出した。
「えっ?」
「一緒に入ったら、変な目で見られるかもしんねぇだろ?」
「あ……」
蓮くんの言葉に、私はハッとして目を丸くする。