この想いが、キミに届きますように。

それから一通り聴いてもらった頃には、もう校内もいつもの騒がしさを取り戻していて、ほとんど無意識でどちらからともなくイヤホンを外すと、顔を見合わせて軽く頷き合った。


「戻ろうぜ」

「うん」


蓮くんの言葉に今度はしっかりと頷きながら、イヤホンを彼の手の内にあるケースに戻し、空き教室をあとにしたのだった。





「……蓮くん?どうしたの?」


四階に到着したそのタイミングで、蓮くんがなぜかその場に立ち止まる。


驚いて隣を見ると、彼は教室がある方をじっと見て、「凜、先に入れ」と言い出した。


「えっ?」

「一緒に入ったら、変な目で見られるかもしんねぇだろ?」

「あ……」


蓮くんの言葉に、私はハッとして目を丸くする。

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