この想いが、キミに届きますように。
私が立ち止まってしまったからか、彼も一歩先で私と同じように足を止めて、「スゲー……」と驚いた様子で中庭を見つめた。
「原田さん、すごいバスケ上手いんだな」
「う、うんっ。藍、バスケ部に入ってて……」
「だからか〜。いや、それにしてもすごいな」
藍の姿を目で追いながら、キラキラと瞳を輝かせる月島くん。
子どものようにはしゃぐ彼がなんだか可愛くて、私はちいさく笑みをこぼした。
「やっぱバスケいいなぁ……」
「月島くんは、バスケ部入ってないの?」
「入ってないよ。オレあのハード練習についていけるほどの体力なくてさ」
ほんの少し拗ねたような顔をして、そんなことを口にする彼。
私も体力ないからわかるなぁ、なんて心の内でひっそりと共感の声を上げながら、「運動部はどこも練習ハードだもんね」と言葉を返した。