ともしび~紫の永友
近くに居た私から見ても、仲間のカットはボールにしか触れておらず、これは明らかな誤審だったが、
終盤になればなる程、審判はカットのシーンやシュートのシーンなどで、ピリピリと気を張っている為、間違えて笛を吹いてしまう事が多い。
しかし、だからと言って、バスケでは誤審などの判定が覆る事はメッタに無い為、こういった場合は泣き寝入りするしかない。
「…咲希、大丈夫だって
まだ、40秒ある」
「……。」
そう言って肩に手を置くが、仲間は下を向いたまま何も答えず、
やがて、ゆっくりとボールを持ったまま、誤審を取った審判の方へと歩いて行った。
「…咲希?」