ともしび~紫の永友
「盗んだって、あんた…
どうやって?」
「直結こいた。
…あれ、そういえばこれ、どうすれば止まるんだ?」
鍵穴を壊して無理やり回した訳では無く、フロントカバーの中にある配線を直結させてエンジンを掛けた為、鍵穴をOFFに出来ず、
久恵達はバイクのエンジンが切れずにいた。
「お前ら何やってんだよ…
つーか、どこでそんなワザ覚えたんだよ…」
「咲希の兄貴に教わった。
千秋も乗る?」
「乗らねえよ…
あんた、いくら暇だからって、そういう事すんなよ…
不良じゃあるまいし…」
「マジでどうやって止めんだ、これ」
「たしか兄貴、マフラーふさぐとか言ってた気がする」
咲希はそう言って、左手で原付のテールを掴みながら、靴の裏でマフラーの穴をふさいだ。