ともしび~紫の永友
気になった私は、バイクが曲がって行った方へ歩いて行き、
素知らぬ顔で素通りする事にした。
「……。」
アパートの前を通ると、先ほど原付バイクに乗っていた男が、アパートの下で何やらバイクのフロントタイヤを見ていた。
(…ゲッ、
なんか怖そうな兄ちゃんだ…)
鳶職らしき、黒のニッカを着た男は、マスクをしたパンチパーマの暴走族風の男で、
さり気なく横目で見ていると、彼は突然、ハンドルを片手で抑えながら、フロントタイヤをガツガツと蹴りだした。
「……。」