ともしび~紫の永友
「ほら、謝れよ」
部屋へ上がると、竜一君は寝ぼけた顔をしながら、窓際に敷かれた布団の上でタバコを吸い始め、
久恵と咲希が、テーブルを挟んだ向かい側から土下座した。
「泥棒Aです。
ハンドルロック折って、ごめんなさい」
「泥棒Bです。
あの原チャ盗もうって言い出して、すんません」
「…いや、
だから、もういいってば…別に…
どのみち来週には、この前買った単車が納車されるし、それまでの間の足に使ってただけだから」
呆れた様子の竜一君がそう言うと、2人はバッと顔を上げ、久恵が目を輝かせながら言った。
「え!?
と言うことは、あの原チャ、いらなくなるって事ですか!?」
「…まあ、そうだけど」
久恵に続く、咲希。
「マジすか!?じゃあ下さい!」
「……。」
反省の色が見えない2人の後頭部を、私はスパーンとひっぱたいた。