ともしび~紫の永友
溜め息を吐きながら、ふと近くに脱ぎっぱなしで放置された黒い服に目がいき、
一瞬、仕事の作業服かなと思ったが、何やら派手な文字が刺繍されているのが見え、私はその服を手に取って広げた。
「…竜一君、
これって、もしかして…」
「特攻服」
黒字に白い文字で、チーム名らしき辻霧(つじぎり)と言う文字が施された、竜一君の黒い特攻服。
咲希の兄が2人にバイクの盗み方をレクチャーした事からも分かる様に、咲希の兄も暴走族だった為、
私は前に一度だけ、咲希の家で特攻服を見たことはあった。
「…暴走族なんすか?」
目の前で広げた特攻服を下げ、確認の為、聞いてみた。
「ああ、そうだよ」
「…へえ、
何歳なんですか?」
「16」
「ええー!?
1個しか違わないんですか!?
パンチパーマなのに!?」
「…強制パンチなんだよ、
ウチのチーム…」
「ひゃあ…驚いた。
まさか1個上だったとは…
老けて見えますね、パンチだと」
「……。」