ともしび~紫の永友
電車に乗り、街中のスポーツ用品店に着くと、私達は入り口から見えたバスケットリングへ向かい、一直線に歩いた。
「高っ!
なんじゃこりゃー」
予想していた値段の倍程の値段が表記された値札を見て、驚いた咲希が声を漏らした。
「他のは?」
千春がそう言って店内をキョロキョロと見回すが、ポールが付いた立派なリングは他に見当たらなかった。
「リングだけなら1万しないよ。
壁掛け式の、バックボード付いてるやつはちょっと高いね」
ひみ子がそう言った瞬間、私達の近くを店員が通り、
リングを見上げていた久恵が、腕を組みながら店員を呼び止めた。
「おい、貴様」
「はい?」
「久恵…敬語使えよ」
「ポール付きのリングは、これだけですかい?」
「はい、こちらだけです」
「…ふうん」