ともしび~紫の永友
歩き疲れと脱力感から、みんなが意気消沈していると、ひみ子の頭上にピカーンと電球が光った。
「あ、閃いた。
バックボード付きの壁掛け式だからダメなんだよ。
リングを単品で買って、どこかの壁に穴空けて付ければ良いんじゃない?」
「おおー。
ひみ子、お前は天才か!?
アメリカみたいに、使われてない倉庫とか見つけて勝手に付けちまおう」
久恵がそう言い、私は溜め息混じりに言った。
「ムリムリ。
使われてない倉庫があったとしても、土地の所有者は必ず居るから、日本じゃそんなカッコイイ事できません」
「なにー。
じゃあ、よく暴走族が倉庫をアジトにしてるってストーリーはどうなんだよ」
「そんな暴走族いないだろ…実際は。
不法侵入じゃん」
「じゃあ、倉庫じゃなくて他の場所探そう。
初売りまで時間あるし」
「無いと思うけどね…
つーか、所有者が居ない土地自体、日本に無い気がする…」