尚美~最後のレディース






子供の頃、夜中になると隣の部屋から聞こえてくる父親の怒鳴り声と、母親の泣き叫ぶ声。



ガラスが割れる音や、母親が殴られる音が聞こえてくる度、私は布団の中で耳を塞いで震えていた。







「誰かー!

警察呼んで下さい!!」







母親が窓から外に向かい、近隣の人に助けを求める声が、今も耳にこびりついている。







「貴方やめて!

お金なら用意するから!」



「うるせー!」







近隣住人も、またいつもの夫婦喧嘩か程度に思い、余程の事が無い限り、警察が来る事はメッタに無かった。






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