尚美~最後のレディース
質問の内容は同じだが、
名前教えろ!と、デカデカとした文字で、書きなぐった様に書かれていた為、
私は再び紙を丸めると、その女の後頭部に目掛けて紙を投げつけた。
「いてっ、何すんのさ!」
「うるせーな!
しつけーんだよテメー!」
「名前くらい教えてくれてもいいじゃん!!」
「答える必要ねえだろ!」
振り返って声を荒げる女につられ、つい私まで怒鳴り声を上げてしまい、クラスメートや教師の視線が私達へと向いた。
「ど、どうしたの…
萩村さん、片瀬さん…」
先ほどの担任が、教科書を手に恐る恐る私達に聞き、萩村という前の席のウザイ女が、それに静かに答えた。
「…いえ、何でもありません」
萩村はふてくされた顔で私を軽く睨みつけ、ゆっくりと前を向いた。
(…なんなんだ、こいつ)