尚美~最後のレディース
一階へ降りると、玄関先で真弓の母親がちょうど給油をしている所だった。
「あ、そっちも無くなったの?」
「はい」
「…もう、真弓ったら。
めんどくさがりなんだから。
ごめんねえ、尚美ちゃん」
「いえ」
真弓の母親はそう言って私から灯油缶を取り、給油をしてくれた。
「真弓、ちゃんと勉強してる?」
「いえ、全く。
アニメ見ながらお菓子食ってます」
私と真弓は中2の春以来、学校で授業なんて全く受けずに過ごし、
この2年は、ほぼ毎日を遊んで暮らしていた。
「あははは。
まあ、北校の定時制なら、名前を書くだけで受かるって有名だからね。
いくらあの子でも落ちるなんて事は無いわよね」
「はい。
ウチらより酷い先輩達も、みんな受かってるヤンキー校ですから」