尚美~最後のレディース
「とりあえず金か〜。
まあ、定時制の学校だから昼間は時間あるし、卒業したら速攻、なんか日払いのバイトでもするか」
ベッドに頭を乗せ、天井を見上げながら真弓はそう言い、私は手元にあったヤンキー雑誌の通販のページを開いた。
「刺繍代もだけどさ、特攻服代もあるよな」
「尚美ロング買うの?」
「灯火ってみんなロングじゃん」
「ええ〜動き辛そう。
応援団じゃねーんだからさ…
しかもロング高いし」
「それより刺繍の短歌でも考えようよ」
「あ、私もう考えてるよ」
真弓はそう言って、ノートを一冊引っ張り出し、テーブルの上に置き、
それを開いて見ると、中にはノート一冊ビッシリと、短歌やら俳句やらよく分からない物で埋まっていた。
「…あんたなぜ、このやる気をちょっとでも受験勉強に向けなかったんだ…」
「7ページ目のは力作だぞ。
名付けて、土曜の夜に舞い降りた天女」
「……。」
期待はせずに、7ページ目を開いた。