尚美~最後のレディース
中学2年の春、転職を繰り返すアル中オヤジの都合で、私は知らない町に越してきた。
「はい、みんなー
転校生を紹介するから注目
じゃ、自己紹介お願いね」
「……。」
当時、ロンスカやリーゼントが流行っていたこの時代、私みたいに髪を脱色している学生は、問答無用で不良扱いされ、周りに敬遠される。
「…ええと
自己紹介…してくれるかな」
「席、どこですか」
「……。」
鉄が錆びた様な焦げ茶色の髪に、上靴に掛かる位、長いロングスカートの制服。
無言で固まる真面目なクラスメート達に、私の自己紹介なんて無意味。