尚美~最後のレディース
授業が始まり、私は黒板や教師には目を向けず、校則をキチッと守ったクラスメート達の、真面目な後頭部を見渡した。
「……。」
張り合いの有る不良が居る訳でもなく、自分と違う人種ばかりの教室はつまらなく感じ、私は机に頬杖を付き、窓の外を眺めてボーっとした。
「……。」
明日からは来る事も無いだろうな、などと考えていると、先ほどの前の席の女が、ノートの端を千切った紙を、前を向いたまま私の机の上に置いた。
「…?」
紙に目を向けると、
貴方のお名前は?と、書かれていて、私はその紙を丸め、後ろにポイッと投げ捨てると、再び頬杖を付いて窓の外を眺めた。
(…うざ)