真冬の景色【完全版】
「あ〜ん?
なに見てんだコラー」
ちょい悪な大人服でレベルアップした私は、
来未の家のお隣さん(高橋家)の犬に向かい、因縁をつけた。
「テメー、ちょっとこっち来いや」
「ヤンキーに言えよ‥
つーか、せめて人間に言え、小心者」
「おーよしよしよし、おーよしよしよし。
いい子でしゅねえ〜、モフモフでしゅねえ〜」
絶対に言い返してこないという保証があるのなら、人間だろうとイチャモンをつけてもいいが、もし相手に強気に出て来られたら、私は確実に敗北する。
「フッ、今日はこの辺で勘弁してやるか。
これに懲りたら、二度と私に吠えるなよ。
高橋家の犬め」
「政府の犬みたいに言うな」
なにせ、私は弱い。
ついでに頭も悪いから、口喧嘩も弱い。
だからこうして、日々、高橋ポン太を相手に喧嘩の練習をしている。