真冬の景色【完全版】
来未がボヤいた、二つのレディース。
灯火【ともしび】女帝會【じょていかい】
この2チームは、共に北部に在るレディースで、私達の地元である南部には、先ほど説明した時枝さんのチーム、狐道だけしか存在しない。
その上、灯火と女帝會の両チームは、男達を含めた、主に北部の暴走族が属する連合、北日本響走連盟に加盟している為、仲間同士。
かたや狐道は、南部にポツンと在る、出来て間も無い単独チーム。
北と南のパワーバランスは、時代によって異なるが、今は俄然、北の方が恐ろしくて強い。
「まあ、レディースも恐ろしいけど、タメにも恐ろしいの居るよな、北部に。
東野原二中の、センコー半殺しにして捕まった奴とか」
「‥ああ、安斎な。
あいつ、入れ墨入ってんだって」
「‥コエーよな。
ぜったい関わり合いたくねえ‥」
そう言って顔を引きつらせる私に、不安を煽る来未。
「南に喧嘩売りに来たりして。
3年になった事だし」
「‥美しい土下座の練習でもしとくか」
「いや、すでに美しいぞ、渚の土下座」