真冬の景色【完全版】
ストレスに追い打ちがかかり、更に機嫌が悪くなった私は、罪も無い自転車に因縁をつけながら、駅へ向かって歩いた。
「あーん?なに見てんだコラー、
誰に断って路駐してんだコラー」
「持ち主に言えよ」
「ケッ、撤去されちまえ。
この、赤いママチャリが!」
「悪口になってねえよ」
鼻息を荒くしながら程なく歩き、駅が見えてきた所で私は来未に尋ねた。
「そういや、クルミいくら持ってんの?」
「300円」
「はあー!?あたし乗れねーじゃん!」
「お前、人の金あてにしてたのかよ‥」
「300円とか小学生か!!」
「あんたは?」
「財布すらねえよ」
「赤ちゃんか!!」