真冬の景色【完全版】
「さみぃな〜、
早く悠里に抱きついてモフモフしてえ」
「あんた嫌われるぞ、その内」
駅構内に在る通路を通り、東口側へ出た時だった。
私達の進行方向に在る、駅前のベンチの所に、不良らしき、数人の女達の姿が視界に入った。
「‥‥。」「‥‥。」
地元では見た事の無い3人組で、彼女らも私達に気付き、会話を止めて私達を凝視した。
「‥渚、見んなよ」
「‥大丈夫。すでに星を眺めてる」
春に、時枝さんに忠告された事など、とうに頭から抜けていた私は、今日も素敵なヤンキールック。
「‥‥。」
急に方向転換する訳にもいかなかった為、私達は目を合わせずに素通りし、彼女らをやり過ごすと決め、
私は引きつった笑顔でお空を眺めながら、プルプルと震える手で星を数えながら歩いた。
しかし、
「‥おい、中坊」
「‥‥。」「‥‥。」
絡まれた。