真冬の景色【完全版】
その風貌から、間違い無く年上だろうと思っていた私は、ドッと肩の力が抜け、私達に向かい、おい中坊と声をかけてきた女に視線を向けた。
「北中って‥タメかよ!脅かすな!
何が、おい中坊だよ!
お前らも中坊じゃねーか!」
「‥あ?だったら何だよ」
「あ‥いや、別に‥」
同い年だろうと、私が弱い事に変わりは無かった。
「白砂って確か、チーム作った所だよな。
あんたらも入るのかい、狐道とかいうチームに」
先ほどの、灰原という女が聞いてきた。
「ま、まあね。
入るつもりは、無い事も無いかな」
勿論、この時はまだ、レディースに入る気など全く無かったが、この場合は入ると言っておいた方が、なめられずに助かるかな、なんて思った。
しかし、
「‥ふうん。
なら、やっとくか、麗子」
「そうだな」
「‥へ?」
選択ミス。
「レディースに入られてからじゃ、お互い迂闊に手を出せねえからな。
ウチらの代の北と南、どっちの立場が上か、前哨戦と行こうじゃねえか、白砂のヤンキーさん」
灰原はそう言って、クスッと笑って立ち上がり、唖然とする私達に向け、麗子という偉そうな女が言った。
「ついて来な」
「‥‥」「‥‥」