真冬の景色【完全版】
「よう」
2人に詰め寄った灰原は、両手をポケットに突っ込みながら、原付に腰掛ける方の女に声をかけた。
「‥誰、お前」
足首まで伸びるロンスカ(ロングスカート)を履く、セーラー服姿に、ボリュームのあるパーマをかけた、金髪の女。
「北中の灰原七海だよ」
「‥北中?灰原?」
すると、その女は、ガムをクチャクチャとさせながら、隣に立つ女と顔を見合わせ、再び灰原の方を向いた。
「なにそれ?知らねえなあ」
「‥随分なご挨拶じゃねえか、安斎蘭香」