真冬の景色【完全版】
その瞬間、
私と来未は、バッと顔を見合わせた。
(あ‥安斎って、まさか‥)
冷や汗を垂らしながら、再び灰原達に視線を戻すと、灰原の仲間の一人が、その安斎という女に言った。
「同じ北部で、北中を知らねえ訳ねえだろーが。
二中は北中上等か、コラ」
その言葉で、嫌な予感が確信に変わった。
(キャーッ!出たーっ!!)
原付に腰掛けていた女は、県内で最も有名で、最も関わり合いたくないタメの女。
入れ墨女こと、東野原二中、安斎蘭香だった。