真冬の景色【完全版】
安斎がそう言った、次の瞬間、
私達が居る公園に、1台の単車が入って来た。
「‥‥。」
街灯の無い、暗い公園の中、ヘッドライトを点けずに現れた、真っ黒で大型の単車。
呆然とする私達の前に、横向きで停まる、その黒い単車のハンドルを握るのは、
安斎達と同じセーラー服の上に、黒いスカジャンを羽織る、黒髪の少女だった。
「‥ねえ、何してるの」
単車のメーターに目を向けながら、静かな声で一言、そう呟いた彼女は、
悠里よりもずっと長い、綺麗な黒髪のワンレンをカキ上げ、
横顔をゆっくりと私達へと向け、冷たい瞳の中に、私達の姿を映した。
「‥私の街で、何してるの?」
「‥‥。」