真冬の景色【完全版】
細腕から繰り出されたとは思えぬ、裏拳の強烈な破壊力。
何より、人が殴られて失神する姿なんて、初めて目の当たりにした。
「‥テメー、やりやがったな。
手出したからには、覚悟できてんだろうな‥」
「‥覚悟?」
麗子がそう言うと、真冬は左足で単車のスタンドをスッと降ろし、エンジンを切った単車から、ゆっくりと降りた。
「ゴミ掃除に‥どんな覚悟が必要なの‥?」
「っ、スカしてんじゃねーぞコラ!」
次の瞬間、麗子は右腕の拳で真冬に殴りかかった。
すると、
「!!」
真冬は麗子のパンチをスーッと左に交わし、
身体の流れに逆らわず、クルッと身体を半回転させ、麗子の後頭部に回し蹴りを入れた。
「くっ‥」
ヨロケながらも、なんとか持ち堪えた麗子が振り向くと、真冬はすでに、麗子の背後で蹴りの構えを取り、
それまでの表情とは異なり、薄ら笑いの消えた、氷の様に冷たい表情で呟いた。
「‥ウゼーんだよ、ゴミが」
「!?」
直後、ゴスッという鈍い音と共に顔面を蹴り飛ばされた麗子は、2メートルほど後方へ飛ばされ、脳震盪を起こし、白目を向いて失神したまま、ピクリとも動かなくなった。
「大人しく‥一撃で死んでろよ」
「‥‥。」