真冬の景色【完全版】







季節は春。清々しい季節。

上級生も居なくなり、堂々と下級生に威張り散らせる、待ちに待った三年の春。






「渚〜、この服いるか?


‥って、あんた何やってんの!?

ビショビショじゃん、髪」


「あ、姉ちゃんオハヨー」






隣の部屋から現れた、来未の姉。

木崎由依。

20才。元ヤン。面倒見が良い。






「‥やめろって、キューティクル壊れるぞ。

ただでさえ、細くて痛みやすいんだから、あんたの髪」


「あー!ベルサーチ!

姉ちゃん、コレくれんの!?」


「店のママに、客がビビるから着てくんなって言われた」


「やったー!ありがとー!


あ、ついでにアレも頂戴よ

これに合わせてた、タイトスカート」


「別にいいけど」


「あと、ルブタンのヒールも」


「‥何でお前は、実の妹より厚かましいんだ」






由依さんは、来未と私を平等に妹扱いしてくれて、今日みたいに服をくれたり、ご飯に連れて行ってくれたり、ヤンキー時代の昔話をよく聞かせてくれる。






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