オブラート
服を着替えると、特に荷造りをしたわけでもなく、私は財布だけを持ち二階の自室を出て、一階のリビングに居る父親を刺激しない様、足音を殺しながら家を出た。
「……。」
家を出た私はボンヤリと道なりに歩き、視界に入った公衆電話の中へ入ると、明菜の家に電話をかけた。
「あ、明菜。今から出て来れる?」
「うん、出れるよ。どっか行くの?」
「ん…やっぱ、家出でもしてみようかなって…」
「あははは、すぐ行く」
明菜との電話を終えた私は、いつも待ち合わせをする学校前のコンビニで明菜を待った。