オブラート
「村上と申しますけど、拓真君いますか。
…あ、拓真君?私、明菜」
口振りから本人が出たと分かり、
何を言い出すのかと固唾をのんで見守っていると、明菜は何の前置きも無く、ストレートに言った。
「家出したんだけどさ、どうすればいいかな?」
「……。」
突然、そんな事を言われても、普通なら誰でも困る。
「うん、…今?
今は公園だよ、学校前のコンビニの裏に在る
…あ、うん、わかった」
明菜はそう言って、受話器を置いた。