オブラート
それから一時間後。
痛いのを我慢した甲斐と、美咲さんの染め慣れた腕のおかげで、私の髪はムラのない綺麗な金髪になった。
「出来上がり〜。
二人共可愛い〜。あいつらに見せてきなよ」
私と明菜は美咲さんにお礼を言い、拓真の部屋へ戻って髪を見せた。
「おおー、いいじゃ〜ん、二人共」
リン君が嬉しそうに言ってくれて、私と明菜は少し照れた。
「春美、気合い入ってるな〜。初っぱなからド金髪かよ。
可愛いじゃん」
「…本当に?ありがとう、拓真くん」
私は別にナルシストじゃないけど、鏡を見て自分が少し、可愛くなれた気はした。
それと同時に、言葉だけじゃなく、
これで本当に拓真とリン君の仲間になれた気もした。
「……。」
ただ髪を染めただけなのに。