オブラート
「オッケーだって。
二人は真也さんって人の車に乗って見に来なよ。
多分、彼女さんも一緒だから安心だよ」
「ありがとうリン君。
てかさ、二人って暴走族なの?」
明菜は私が聞こうとしていた事を、サラッと聞いた。
「あはは、違うよ。
今日は知り合いの追悼だから、特別なんだ」
「追悼?」
「……。」
明菜が聞き返すと、リン君は少し、寂しげな表情を見せた。
「…うん、追悼集会。
流しで死んだ人の命日にやる集会。
去年の今日、そこのバイパスで亡くなった先輩って、俺たちもよく遊んでもらってた先輩だからさ…」
「…ふうん」
私はまだ15歳で、人の死に直面した事はなかったけど、
不良の世界では、仲間のバイクでの死が、わりと身近にある事を、この時、初めて知った。