オブラート
「ねえねえ。
西中でしょ、武田とかまだ居る?」
車が走り出すと、助手席のマドカさんが後ろを振り返り、私達に聞いてきた。
「体育の武田先生ですか?まだ居ますよ。
あの先生、怖いですよね」
「へえ〜、まだ居るんだ。
あいつには私も美咲も、かなりやられたからね〜。
凄かったんだよ、学校に行くと、髪引っ張られたり腕捕まれたり」
「あははは。
武田って嫌われてますよ、生徒みんなに」
緊張した様子も無く、動じずに話す明菜を見て、私は少し羨ましかった。