華の咲きかた
「あ、そういえば。
京介がさっき真也さんの所に行って、なんか話してきたみたいなんだけどさ、
優香なんか聞いてない?」
私が聞くと、優香は一瞬、私を見て言葉をつまらせ、
本日三度目のエンストを起こす綾に視線をやりながら、静かに答えた。
「京介…
先輩達のチームに入れてもらうって言ってました」
「ハア!? なんで!?
つーか兄貴のチーム中学生入れねーじゃん」
「どうしても今入りたいから、真也さんに頼むんだって
この前、言ってました…」
「何考えてんだ…あのバカ。
そんなの無理に決まってるじゃんか。
なんで急にそんな事…」
「……。」
あまり表情の変化が無い子だけど、何か悲しいことを考えてる時の横顔くらいは、最近分かる様になった。
ああ、そうだったね。
あいつは私に惚れているから心配で、一年間待つことが出来ないんだ。
優香の悲しそうな横顔が、そんな単純な理由に気づかせてくれて、
私はまた胸を痛める。
「……。」
自分の意志とは関係無いにしろ、
バラの髪飾りに続き、可愛い後輩が自分のせいで傷つくのが凄く嫌だった。