華の咲きかた
「あ、先輩。
私と美咲が何で出るかは別として、優香にギャラリー来させたいんですけど誰か車出せないですか」
綾が兄貴達にそう聞くと、
優香は慌てて言った。
「先輩、私はいいです。
土曜日は家に居ます」
「なんで?
私と美咲の初流し、見たくねえの?」
「見たいですけど…
でも、大丈夫です」
「ええ〜、いいから来いよ」
なんとなく、
優香の気持ちはわかった。
もし私が優香の立場だったら、私と京介が同じ場所に居て、自分だけ疎外感を感じるのは辛いと思う。
優香だけ仲間外れみたいになるのは嫌だったけど、
私は優香の気持ちを察し、しつこく誘う綾にさり気なく顔でやめろと合図をし、
頭が回らず気の利かない綾には、
後で説明する事にした。
これから引退までの間、私は京介と優香の板挟みに合い続けるのかなと、
清々しい気持ちの出発とはとても呼べない、微妙な16の春だった――