華の咲きかた








京介は交差点の中心でギアをニュートラルに入れると、


クラクションが鳴り響く中、優雅にタバコを吸いはじめ、



その手とは逆の手でアクセルを吹かし続け、車を威嚇し、通行車を次々と停車させた。










「ねえ美咲…あれってさ…」





「……。」









京介が見せたタバコを吸いながらの信号止めは、兄貴と真也さんの真似だった。








二台でも危険なのに、それをたった一人でやってのけた京介。




まして京介は中学生で、今日が初流し。







度肝を抜かれた集団の皆が、唖然としながら京介の横をゆっくり通り過ぎる時、




私は京介と目が合い、

単車を停めた。











「弱くなくてもさ」





「え…?」





「先輩は女で、俺は男だよ」





「……。」








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