華の咲きかた







「あー、バラじゃん!

ちょっと京介、私のは?」






知らない後輩に写真をせがまれていた親友の綾が、私の頭に刺さったバラに気づいて近寄って来た。







「ごめん、綾先輩。

一本しか咲いてなかったんだよね」




「はあ?そんなわけねえだろ。

あんたホント美咲のこと好きだよね」




「あはは、違うって。

荒井先輩から短ラン引き継ぐついでっすよ」






同級生の荒井が着ていた短い学ランは、私の一個上の兄貴が先輩から貰った物で、

いつの間にかうちの学校では、代々、頭がそれを着れると定着していた。





私のセーラー服の背中に入った刺繍より、


むしろ、そっちの方が時代錯誤だと思う。






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