華の咲きかた
「美咲せんぱーい」
この日、
自宅マンションの駐車場で、兄貴に何度も頼み込んで譲ってもらった単車を磨いていると、そこへ京介が現れた。
「どうしたの、京介」
「ちょっと真也さんの所に行ってたんだ。
帰る前に寄ってみた。
…あれ、それって達也さんのバブですか?」
CB250T、通称バブ。
真也さんとはマドカさんの彼氏で、
兄貴と真也さんは、ワインレッドで統一した同じカラーのバブに乗っていて、二人の単車は地元じゃかなり有名だった。
マドカさんはそれを真也さんから貰い、流しに出ていたから、
私はどうしてもマドカさんとお揃いのこの単車に乗りたくて、半ば強引に兄貴から譲り受けた。
「へへへ、いいだろ?
乗せてやんないからな」
「いや…達也さんの単車なんて、恐れ多くて乗れないっすよ…」