走り続け、眠る前に
「じゃあ失礼しまーす」
夏美に続き、私と静香も先輩達に頭を下げ、
自転車を隠してあるアパートへ向かった。
「感謝しろよ、私のおかげでマドカ達も短くしていいって言われたんだから」
自慢気に話す夏美に、静香は溜め息混じりに答えた。
「…いつか、夏美のせいで大変な事に巻き込まれそうな気がする」
「それ…私も思った」
「なんだよお前らー。
人を危険物みたいに言うなよ」
自転車を取り、帰ろうとして駐輪場を出ると、目の前を原付バイクの二人乗りが通った。
「あ!八代君だ!」
夏美が叫んで直ぐにバイクを目で追うと、後ろには真也が乗っていた。