走り続け、眠る前に
「自転車通学はいけませんよ〜。
バスケ部のなっちゃん」
缶コーヒーの蓋を開けながら、八代は駐車場の縁石に腰を降ろした。
「やったー。
私の名前、知ってたんだね八代君」
「うん、でかいって有名だし」
八代の隣に腰を降ろした真也がクスッと笑った。
「…はいはい、慣れてるからいいっすよ、別に。
それよりさ、三年の先輩達が二人の事を探してるみたいだよ」
「…あ〜、
そりゃあ、そうだろうな」
八代は特に驚いた様子も無く、平然と答えた。