走り続け、眠る前に
その時だった。
私達は下から階段を上がってくる人の気配に気付き、とっさにタバコの火を消した。
「………。」
階段を登る時には壁で死角になっている踊り場の隅で、私達が息を潜めていると、
上がって来たのは教師ではなく、三年の男達だった。
「どっちが八代?」
ガキ臭さの残る二年のヤンキーとは違い、あきらかにヤバそうな雰囲気が出ている三年の頭のグループ。
目つきが座ってるサイドを刈り上げたオールバックの男がそう聞き、達也と真也は立ち上がった。
「俺っすよ」
左手をポケットに突っ込み、逆の手を軽く上げて答える達也。