走り続け、眠る前に
「…出ませんけど」
数秒待って、二人に振り返ると、次に静香が私より強く窓を叩いた。
「…居ないのかな?」
やはり反応は無く、静香がもう一度、窓を叩いていると、後ろで腕を組んで見ていた夏美が窓に手を伸ばした。
「開いてんじゃね?夏だし」
夏美がそう言って窓に手を掛けると、鍵は本当に掛かっていなかった。
「ちょっ…夏美…
それはヤバいだろ…」
私は小声でそう言い、静香と二人で窓から少し離れた。