クールな身代わり王女は、騎士の熱愛に気づけない
「しかし……そういったことは警備兵にまかせたほうが……」
 余所者の自分たちより、近しい者にまかせたほうがいいのではないかと、デュランは言った。

「信用がおけんのじゃ。いくら城の者でもな、間者が紛れている可能性もなくはない」
「我々の信頼はよろしいのですか……?」

 ノキアが問うと、大臣は「ウォッホン!」と大きく咳払いをする。

「ミタの剣術の極意。人のために剣を振るい、人を生かすための剣」
「…………!」

 言われてノキアとデュランは、息を呑んだ。ミタの剣術は世界的にも名を知られているが、その極意が遠く離れたこの国にまで知れ渡っているとは思わなかった。

「どうですかな?」
「……わかりました。しかし、犯人の検討がつきません。それがわかれば、お引き受けすることもできるのですが」
「それなら大丈夫よ。わたしが犯人をばっちり見ているから!」

 セイラが、自信満々に胸を張り、被せ気味に口を開いた。
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